1学期終業式 「親切なケーキ屋さん」

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7月17日(金) 1学期終業式にて、「埼玉県学力・学習状況調査」と「大地震に備えた対応について」の話をした後、「親切なケーキ屋さん」という話をしました。

親切なケーキ屋さん
 これは、先日聞いた話です。
 あるケーキ屋さんのある日のこと、夕方6時頃に片づけをしていると、一人の男性が慌ててお店に入ってきました。その日は娘さんの誕生日で、朝、バースデーケーキを頼まれたことをすっかり忘れていたらしく、自宅の玄関を開けようとしてそのことを思い出し、急いでやってきたということでした。
 ところがその時、そのケーキ屋さんにはバースデーケーキがなかったのです。
 在庫があるかもしれないと、お店の人が本店や支店に連絡を取りましたが、どこにもバースデーケーキはありませんでした。がっかりして帰ろうとするそのお父さんを、お店の人が引き止めました。
 「お役にたてるかもしれませんので、少しお時間をいただけますか?」
 そう言うと、電話帳を出してきて他のケーキ屋さんの電話番号を調べ始めました。そして、いくつか選んで順に電話をかけ始めたのです。
 「今、当店にバースデーケーキをお求めになりたいお客様がおられますが、今、在庫切れですので、そちらにバースデーケーキはないでしょうか?」
 電話をかけ続け、4件目にやっとバースデーケーキがあるお店を見つけると、お客さんにこう伝えたそうです。
 「バースデーケーキがあるそうです。このお店なら、私どものケーキに勝るとも劣らない美味しいケーキを作っているケーキ屋さんです。」
 そして、「娘さん、おいくつですか?ろうそく何本ですか?お名前は?」と聞いて、ちゃんとそのケーキ屋さんに伝え、最後に「このお客さんがいらっしゃいますから、よろしくお願いします。」と言って電話を切ったそうです。
 そのお父さんは、大変喜びました。しかも、そのお父さんがお店を出ようとすると「お客様、少々お待ちください。私も仕事が終わりましたから、一緒に行きましょう。私なら、そのお店の場所もよく知っていますから。」と、急いで片づけを終え、そのケーキ屋さんまで送って行ったという話です。

 この話は、「人は何のために働くのか?」ということにも通じます。
 ケーキ屋さんに「何のために働いているか」聞いたら、「自分の店のケーキを美味しく食べてもらうため」と考えるのが普通だと思います。でも、このケーキ屋さんは違いました。今目の前にいるお客さんの為に自分ができることは何か。このお客さんが「喜ぶことはなんだろう」と考えながら仕事をしていたのです。
 実は、商品がよく売れるお店には、こういう人が多い店です。
 たとえばこのお父さんは、今度ケーキを買う時、どこのお店に行くと思いますか?
 紹介されたお店でしょうか?
 私は、きっとこのお店に行くと思います。
 更に、「あそこのケーキ屋さんはこんなに親切にしてくれたよ。」とみんなに話し、口コミでもお客さんが集まってくると思います。自分のお店の商品を買ってもらいたいということばかり考えていても、なかなかうまくはいきません。この人は、商品を買ってもらっているのではなく、「お客さんに喜んでもらいたいという心」を買ってもらっているのかもしれませんね。

 さて、振り返って皆さん方はどうでしょうか。

 自分の身近な人に対し、喜ばせたいと思って日々生活していますか?
 そう思って毎日を過ごしている人は、必ず社会に貢献でき、幸せな人生を送れる人だと思います。
 明日から始まる夏休みは、家族を含め、親戚の人、地域の人などとの「ふれあいの機会」が増える時です。
 例えば、校長先生が知っているだけで、
 この夏、1年生の有志の皆さんは、母校の下忍小と南小へ行き小学生の勉強のお手伝いをするサマースールにいってくれます。
 保健委員会の皆さんは、7月28日に下忍学童保育室のお手伝いにいってくれます。
 合唱部は、7月31日の家庭教育セミナーで合唱を披露してくれます。
 安全委員は行田市主催のジュニア防災研修に参加してくれます。
 オーストラリアに海外研修に出向く人もいます。
 また、7月26日には、100名を超える皆さんが「浮き城だんべ踊り」で「行中連」を組み、お祭りで地域貢献をしてくれます。お囃子で活躍してくれる人もいますね。
 その他にもボランティア活動など参加して活躍する人もいることでしょう。
 このような時こそ、ただ漫然と参加するのではなく、自ら、自分が出会う人を心から喜ばせたいという気持ちを持って、積極的に参加していただけたらと思います。このようなイベントだけでなく、この夏は、身近な人を喜ばせることを考えて、行動してみてください。
 精神的に成長するというのは、自分からそういったことに取り組めることだと思います。
 皆さんが精神的に大人になり、言葉や行動も少し大人になって、2学期の始業式を迎えることを期待して、終業式の話とします。